言語と文化
授業概要 私たちの多くは、あたりまえのように日本語を使用し、日本文化にもとづいたふるまいをよしとしているが、こうした共通の言語や文化のあり方に目を向けていく。かつて近代国民国家は、共通の言語や文化をつくりだすことによって、国家としての基盤を築いてきたが、今日、多くの国々では、その言語と文化の共通性が揺らいでいる。国語や公用語以外の言語を母語とする人々や、普遍的とみなされてきた文化とは異なる文化を身につけた人々と、ともに暮らす機会が増えてきたからである。欧米諸国はもとより日本でも、多様な言語や文化とどのような折り合いをつけていくのかが、問われていると言えよう。そこで、この講義では、人をつなぐものであるとともに人を分かつものでもある、言語や文化の役割について考察していきたい。 授業の具体的目標 テキスト(青木保『異文化理解』(岩波新書))の講読を通して、人間にとってのまた社会にとっての言語と文化の意味について理解する。
第1章 異文化へ向かう (1)文化は重い (2)異文化を憧れる 第2章 異文化を体験する (1)バンコクの僧修行 (2)境界の時間 (3)儀礼の意味 第3章 異文化の警告 (1)異文化に対する偏見と先入観 (2)ステレオタイプの危険性 (3)文化の衝突 第4章 異文化との対話 (1)文化の翻訳 (2)「混成文化」とは (3)文化の境界に生きる (4)自文化と異文化