講義情報
講義名: 化学
教員: 本間 篤
単位: 2
学部:
カテゴリ: 一般教育科目
開講情報
キャンパス:
開講時期:春学期
開講学年:
昼夜区分:
曜日・時限:月曜 2時限
授業のテーマと目標

本間が担当する「生命科学」、「化学(バイオの科学)」は、共に”生命”に焦点を当て、授業を進めます。

「生命科学」では、生命の誕生と進化、および生命の根本である細胞とその構造、現象について触れます。

一方「化学(バイオの科学)」では、生命を構成する物質と細胞内での動態、遺伝やエネルギー生産における物質の変化について触れます。いずれにおいても、共通のキーワードは”生命”です。

地球上に存在するあらゆる生命は、細胞という最小構成単位を持ちます。
細胞をよく観察すると、宇宙と非常によく似ていることに気が付きます。

太陽を中心に、惑星や衛星が活動する宇宙。
一方、核を中心にさまざまな細胞小器官(オルガネラ)が活動する細胞。

私たちは、細胞でできたからだをもち、この宇宙の一員として生きています。

細胞を最小構成単位とする生命を学ぶことは、宇宙を学ぶことと非常に似ています。
どちらの教科も、私たちが生きる今、この瞬間を学ぶこと、だと言えます。

文系の学生が多い本学では、ともすると、「理系科目は難しいし、学んでも役に立たない」と浅はかに考えるものも少なくありません。

しかし、私は断言します。

”生命”の中には、実社会に応用できる多くのテーゼがあるのです。

実社会で難しく思える出来事や事象であっても、実は生命の本質を知っていれば理解できることがたくさんあります。

たとえば、最近実社会において「経済成長が困難になっている」「過去のように、経済を成長させなければならない」ということを私たちはよく耳にします。

しかし、生命の本質を知っていれば、「成長し続ける」という考えそのものがナンセンスだとわかります。
生命には寿命がある。よって一つの生命体が成長し続けることはそもそもできない。

もし、成長が困難なのであれば、新しい生命に次世代を託すしかない。

社会に例えるならば、今の社会モデルで成長が困難ならば、新しい社会モデルに切り替え、次世代を託す必要があるのです。
(もしかすると、今がちょうど切り替えなくてはならない時期なのかも知れません。。。。。)

”生命”を学べば、そう想像できるようになります。

他にも、社会では「弱肉強食」:つまり経済社会では強いものだけが生き残る、と考えられています。しかし、生命の本質を知っていれば、「強いものだけが生き残る」ことがどれだけ生命にとって危険かが分かります。 
生命は、全てのファクターが絡み合って一つの個体を成立させている。特定の勝手で強い細胞、ファクターだけが生き残れば、大きな個体は滅びてしまうのです。(ちなみに、特定の勝手で強い細胞を「がん細胞」といいます)


このように、生命を学べば、実社会で発生するさまざまな現象を、他者とは違った視点でとらえ、新しい切り口から解決策を見出せることができるはずです。

「生命科学」「化学(バイオの科学)」では、こうしたヒントをたくさん与えたいと思っています。単なる一般教養科目としてだけでなく、あなた自身の視野、考え方、問題への切り口を広げることを、両授業の共通目標にしたいと思っています。


また、「化学(バイオの科学」に関しては、 

 

  1. 生命は、どのような物質で構成されているか。
  2. これらの物質は、どのように生命の維持、増殖に関わっているのか。
  3. 生命に関わる物質、生命特有の現象は、現在どのように私たちの社会に活かされているのか。

以上の3点をテーマに授業を進めていきます。

学士力
A【社会性】-6. 自分と周囲の人々や物事の関係性を理解する
(例)他の生命、自然およびそれらを構成する物質、現象と人間自身のつながり、関係性を理解できるようにする

D【倫理観】-1. 自らを律して行動できる
(例)授業時間内に、他者との関係性を意識しながら、よりよい授業環境づくりに学生自らが参加できるようにする

E【生涯学習力】-2. 目的を設定し進んで取り組む
(例)15回の授業において、単位修得試験(定期試験)に向けて少しずつ学習内容を復習しながら、理解度を高められるようにする 
授業の内容と計画

 

  1. 生命を構成する化学①~私たちをつくる物質とその種類~

  2. 生命を構成する化学②~炭水化物と脂質~

  3. 生命を構成する化学③~タンパク質~

  4. 生命を構成する化学④~ビタミン・ミネラル~

  5. 生命を構成する化学⑤~核酸~

  6. セントラルドグマと遺伝の化学①~セントラルドグマとは何か~

  7. セントラルドグマと遺伝の化学②~私たちの遺伝情報が形になるしくみ~

  8. セントラルドグマと遺伝の化学③~遺伝子からわかること、遺伝子でできること~

  9. セントラルドグマと遺伝の化学④~バイオテクノロジーと遺伝子工学~

  10. エネルギー生産の化学①~植物は光合成で炭水化物をつくる~

  11. エネルギー生産の化学②~すべての生命は呼吸によって自らの命を維持する~

  12. バイオテクノロジー~生命の現象・生命を構成する物質を利用した多様な科学技術~

  13. 進度調整(ワークシート演習、その他)

  14. 進度調整(ワークシート演習、その他)

  15. 進度調整(ワークシート演習、その他)

成績評価方法と基準
基本的な成績評価は以下の通りです。
但し状況によって以下の評価点数や割合等をを変更する場合もあるので、担当者の指示を聞くように。なおカッコの中の点数は、合計を100点満点とした際のものです。

  • 出席点・授業態度(20点)
  • ワークシート(授業内演習プリント)(40点)
  • 定期試験(40点)
また、必要に応じてレポート等の得点を上記に加算する場合もあります。
学生へのメッセージ
  • 本学学生は、卒業後教員として幼稚園、保育園、小学校等で働くことが考えられます。
  • 将来教員になる者としてふさわしくない態度、例えば私語を我慢できない者、厚顔無恥に携帯を操作する者、他の学生の集中力を削ぐような行為をする者は、絶対に受け入れません。
  • 授業では、生命に関する基本的な知識だけでなく、健康のこと、身近な病気のこと、人間の誕生や老化、死に関するトピックスも提供します。
  • 生命全体に幅広い関心のある学生は、可能であれば「生命科学」「化学(バイオの科学)」の両方を履修することをお勧めします。
  • 高校で理系科目(特に生物)を選択していない学生にも不利のないよう授業を進める予定です。
オフィスアワー
  • 前期月曜5限(14:30-16:00)とします。
  • 授業準備等で部屋を出る以外、基本的に非常勤教官室にいますので、気軽に部屋を訪ねてください。
その他
  • 履修者が確定した後(遅くとも3回目の授業以降)は、原則として指定席とします。
  • 視力等の問題で前の席を希望する者は、あらかじめ申し出てください
  • 席は毎回に変えます。
  • 指定された席に着席していない者は、出席扱いにはしても、出席点は与えないので頭に入れておくこと。
参考URL
教科書・参考書
  • 「バイオの科学」本間篤 東京未来大学教科書
  • 「生命とは何か、いかに進化してきたのか」ニュートンプレス参考書
  • 「生命の設計図 その仕組みと正しい読み方」 ヤン・ウィトコウスキー、ローリー・グッドマン、デイビッド・スチュワートニュートンプレス参考書
  • 「Quizでわかる生物―なぜ?がわかれば面白い」/入江ひな子/ベレ出版/参考書
  • 「好きになる人間生物学」吉田邦久講談社サイエンティフィク参考書
  • 「遺伝子の技術、遺伝子の思想―医療の変容と高齢化社会」/広井良典/中公新書/参考書
  • 「アポトーシスとは何か―死からはじまる生の科学」田沼靖一講談社現代新書参考書
  • 「生命観を問いなおす―エコロジーから脳死まで」 森岡正博 筑摩書房参考書
  • 「無痛文明論」/森岡正博/トランスビュー社/参考書
  • 「弱くある自由へ―自己決定・介護・生死の技術」/立岩真也/青土社/参考書
  • 「良い死」/立岩真也/筑摩書房/参考書
変更前科目名称(2011年度以前入学生)
  • バイオの科学