本間が担当する「生命科学」、「化学(バイオの科学)」は、共に”生命”に焦点を当て、授業を進めます。
「生命科学」では、生命の誕生と進化、および生命の根本である細胞とその構造、現象について触れます。
一方「化学(バイオの科学)」では、生命を構成する物質と細胞内での動態、遺伝やエネルギー生産における物質の変化について触れます。いずれにおいても、共通のキーワードは”生命”です。
地球上に存在するあらゆる生命は、細胞という最小構成単位を持ちます。
細胞をよく観察すると、宇宙と非常によく似ていることに気が付きます。
太陽を中心に、惑星や衛星が活動する宇宙。
一方、核を中心にさまざまな細胞小器官(オルガネラ)が活動する細胞。
私たちは、細胞でできたからだをもち、この宇宙の一員として生きています。
細胞を最小構成単位とする生命を学ぶことは、宇宙を学ぶことと非常に似ています。
どちらの教科も、私たちが生きる今、この瞬間を学ぶこと、だと言えます。
文系の学生が多い本学では、ともすると、「理系科目は難しいし、学んでも役に立たない」と浅はかに考えるものも少なくありません。
しかし、私は断言します。
”生命”の中には、実社会に応用できる多くのテーゼがあるのです。
実社会で難しく思える出来事や事象であっても、実は生命の本質を知っていれば理解できることがたくさんあります。
たとえば、最近実社会において「経済成長が困難になっている」「過去のように、経済を成長させなければならない」ということを私たちはよく耳にします。
しかし、生命の本質を知っていれば、「成長し続ける」という考えそのものがナンセンスだとわかります。
生命には寿命がある。よって一つの生命体が成長し続けることはそもそもできない。
もし、成長が困難なのであれば、新しい生命に次世代を託すしかない。
社会に例えるならば、今の社会モデルで成長が困難ならば、新しい社会モデルに切り替え、次世代を託す必要があるのです。
(もしかすると、今がちょうど切り替えなくてはならない時期なのかも知れません。。。。。)
”生命”を学べば、そう想像できるようになります。
他にも、社会では「弱肉強食」:つまり経済社会では強いものだけが生き残る、と考えられています。しかし、生命の本質を知っていれば、「強いものだけが生き残る」ことがどれだけ生命にとって危険かが分かります。
生命は、全てのファクターが絡み合って一つの個体を成立させている。特定の勝手で強い細胞、ファクターだけが生き残れば、大きな個体は滅びてしまうのです。(ちなみに、特定の勝手で強い細胞を「がん細胞」といいます)
このように、生命を学べば、実社会で発生するさまざまな現象を、他者とは違った視点でとらえ、新しい切り口から解決策を見出せることができるはずです。
「生命科学」「化学(バイオの科学)」では、こうしたヒントをたくさん与えたいと思っています。単なる一般教養科目としてだけでなく、あなた自身の視野、考え方、問題への切り口を広げることを、両授業の共通目標にしたいと思っています。
また、「生命科学」に関しては、
- 生命は、どのようにして誕生し、現在にいたるのか
- 生命にはどのような現象があり、どのような活動をしているのか
- 生命の歴史、減少、活動から、私たちは生きる上で何をどのように活かせるか
以上の3点をテーマに授業を進めていきます。