講義情報
講義名: バイオの科学
教員: 本間 篤
単位: 2
学部:
カテゴリ:
開講情報
キャンパス:
開講時期:秋学期
開講学年:
昼夜区分:
曜日・時限:月曜 2時限
授業のテーマと目標
今日私たちが生活する社会では、さまざまな形で遺伝、遺伝子という語句が利用され、これらを利用したさまざまな技術を私たちは利用している。

ところが、果たして遺伝、遺伝子という語句の正しい意味、そして仕組みを理解している者は決して多くはない。

そこでバイオの科学では、私たち人間の、そして地球上の全て生命が生命であるために有する根源の情報ともいえる遺伝子が、いったいどのようなもので、それらがいかにして生命の情報をこの世界に発現しているかを、正しく理解することを目標としたい。

また昨今、科学技術の進歩に伴い、遺伝子の仕組みを利用したさまざまな技術も開発され、社会で利用されつつある。生命に関するこれらの技術をバイオテクノロジーとよぶが、それが生命という私たち自身の本質を対象とするため、倫理的な問題もその周囲に生じるようになった。

よってこの授業では、バイオテクノロジーに潜む倫理問題にも目を向ける。たとえば遺伝子操作や遺伝子治療といったように、100年前の人間が想像もできなかったが、今この瞬間を生きる私たち人間には可能となったバイオテクノロジーが、私たち自身に投げかける問題についても、真正面から取り組み、じっくり考えたい。

バイオの科学があなたに与えるテーマ、それは生命の38億年の歴史の産物である遺伝子を正しく知ること、そして遺伝子を取り扱うことに潜む問題点を発見し、考えること、以上の2つである。
授業の内容と計画

教科書に従い、以下のような計画で授業を行う。


第1章 遺伝子の解明とその歴史を見つめる(1、2回)

  1. 遺伝現象を解明する ~メンデルの法則~
  2. 遺伝子を解明する ~染色体説と遺伝子の本体~
  3. DNAを解明する ~DNAの二重らせん構造とセントラルドグマ~
  4. 遺伝子をあやつる ~遺伝子工学とヒトゲノム計画~

第2章 遺伝に関わる物質を知る(3回)

  1. DNA ~細胞工場の製品設計図~
  2. RNA ~製品設計図のコピー~
  3. タンパク質 ~設計図によって作られる最終製品~

第3章 セントラルドグマ(4回)

  1. セントラルドグマとは何か
  2. 転写 ~セントラルドグマの第一段階~
  3. 翻訳 ~セントラルドグマの第二段階~

第4章 ニューバイオ ~遺伝子工学を利用したバイオテクノロジー~(5、6回)

  1. 遺伝子工学とは何か
  2. 遺伝子工学によって医薬品をつくる ~大腸菌で糖尿病を救う~
  3. 遺伝子工学によってがんを克服する ~ウィルスでがんを治療する~
  4. 遺伝子工学によって栄養不足のこどもを救う ~コメの遺伝子操作で失明を防ぐ~
  5. 遺伝子工学を犯罪捜査に用いる ~わずかな血液や毛髪で犯人を特定する~

第5章 ニューバイオを社会が受け入れるために(7、8回)

  1. 農業に関する問題 ~GMOとは何か~
  2. 医療に関する問題 ~遺伝子治療に潜む優生学~ 
  3. ビジネスに関する問題 ~遺伝子と特許~
  4. ニューバイオが社会と共に歩むために

通学制の授業では、教科書を用いた授業形式は最小限とし、時間のゆるす限り、実際のバイオテクノロジーの現場に出向き、自分の目で見たり、実際のバイオテクノロジーや生命倫理問題に関して発表、ディスカッションしたりする演習形式を増やしたいと考えている。以下がおおむねの目安

  1. 授業形式 8~9回
  2. 演習形式 4~5回
  3. その他 2回(初回と定期試験)
成績評価方法と基準
積極的に授業に臨み、自ら考え、答えを導き出す姿勢を有する者に良い評価を与えたいと考えています。逆に遅刻や欠席が多い者、受動的な姿勢の者(ただ出席しているだけ等)は単位を与えないつもりです。

以下を基本的な成績評価とします。但し人数や状況によって以下の評価点数を変更する場合もあるので、授業で説明します。
  1. 出席点 (15点)・・・授業回数15回より
  2. レポート・小テスト・演習 (55点)
  3. 定期試験 (30点)
学生へのメッセージ
遺伝子という言葉から、私たちはいろんなことが想像できるでしょう。

しかし、その想像が正しい知識、根拠に基づいているかと言えば、自然科学系出身の私が見るに、不十分な人々があまりにも多いような気がします。

とくに昨今、情報化社会という名の下に、あまりにも不正確な情報が飛び交っています。

ときに新聞やテレビなどのマスメディア、そしてインターネットなどでも、不正確な情報、いい加減な情報が乱立し、その中でも自然科学系の情報に関しては、伝える側の知識不足からか、あまりにも不正確な情報が多すぎるように思えます。

たとえば「遺伝子組み換え食品」がもつ危険性などは、こうした知識不足がもたらす典型例だと思います。
そして、おそらくバイオの科学を学べば、今まで持っていた不安のいくらかは解消されるはずです。
(もちろん、私自身、「遺伝子組み換え食品」が100%安全だとは思っていませんが。。。)

バイオの科学が目指すもう一つのテーマ、それは

「正しい知識、根拠に基づいて、身の回りにある現象、出来事を見つめ、そして正しい判断を下す。」

です。

一年次に生命科学を履修していなかった者、高校で理系科目を選択していなかった者でも、授業を履修する際に不利が生じないよう、進めていくつもりです。

3年次後期という、「履修しにくい」時期かも知れませんが、みなさんと一緒に楽しく勉強していきたいと思っています。

堅苦しくない授業にするつもりです。見学授業なども取り入れるつもりですので、共に学び、共に成長しましょう!
オフィスアワー
月曜4限(14:30-16:00)
授業準備等がなければ、基本的にこの時間は非常勤講師室にいます。
いつでも遠慮なく話をしに来て下さい。
その他
履修者の顔を名前を一致させたいので、授業は基本的に

指定席

とします。
視力が悪い等の理由で前の席を希望する者は、あらかじめ伝えて下さい。