講義情報
講義名: 教育・学校心理学A
教員: 須田 誠
単位: 2
学部:
カテゴリ:
開講情報
キャンパス:
開講時期:春学期
開講学年:
昼夜区分:
曜日・時限:火曜 5時限
科目番号(科目ナンバリング)
XBIA201A
授業のテーマと目標
テーマ
「発達」を基軸とし、「愛着」「条件付け」「学習」「動機付け」「知能」「パーソナリティ」「評価」「集団」「環境」等の多岐にわたる心理学的視点から「教育」について解説をする。コアカリキュラムの通り、「幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程」である。これに加えて、幼児、児童の養育者となりうる成人期・高齢期の人の発達及び学習の過程と教育環境の整備をテーマとする。

目標
到達目標は、「幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程について、基礎的な知識を身につけ、各発達段階における心理的特性を踏まえた学習活動を支える指導の基礎となる考え方を理解する」である。授業のテーマに即して、成人期と高齢期の人の心理的特性を踏まえた学習行動と教育環境の整備に理解することも到達目標とする。
卒業・学位授与方針(ディプロマポリシー(DP))との関係
DP-CP1-専門的知識と技能を身につけること。
DP-CP4-社会に貢献する力を身につけること。
DP-P2-心理学に関する専門的知識と技能を身につけること。
DP-P4-人間性や心の豊かさを培うスキルを身につけること。
身につけるべき学士力
C-5:問題を発見し、必要な情報を収集・分析・整理し、解決できる。
C-6:獲得した知識・技能を総合的に活用し、課題に適用し、解決できる。
H-22:子どもの多様な発達プロセスを科学的にとらえることができる。
H-23:人の行動や言葉の深い意味を理解できる。
H-24:心理学的な枠組みで人間の心の働きを理解できる。
I-26:他者の立場に立ち、共感的に理解し関わることができる。
授業の内容と計画
第1回
*「ガイダンス」ではなく初回から「講義」を行うので必ず出席すること
*「受講上の注意」は授業開始前にCoLS上で提示するので必ずしっかり読んでおくこと

第1回
 発達に関する代表的な心理学理論と教育実践との繋がり:
1.教育心理学とは何か?
2.支援・教育に関する心理学の代表的な理論

第2回
心身の発達に対する外的及び内的要因の相互作用
1.何が発達するのか
2.遺伝と環境
3.発達の研究法
4.信頼関係の構築

第3回
胎児・乳児期の運動発達・言語発達・認知発達・社会性の発達と教育
1.胎児・新生児・乳幼児の特徴
2.赤ちゃんの学習
3.子どもを授からなかったら?

第4回
幼児期の運動発達・言語発達・認知発達・社会性の発達と教育
1.幼児の学習
2.条件付け
3.様々な学習理論
4.メイとサツキの心理分析

第5回
児童期の運動発達・言語発達・認知発達・社会性の発達と教育
1.子どもをやる気にさせる
2.思いやりの発達
3.思春期と性差

第6回
児童期の運動発達・言語発達・認知発達・社会性の発達と教育
1.幼児と児童期の発達の比較
2.児童虐待

第7回
青年期の運動発達・言語発達・認知発達・社会性の発達と教育
1.マージナルマン
2.モチベーションの理論
3.第二の個体化

第8回
青年期の運動発達・言語発達・認知発達・社会性の発達と教育
1.青年期の危機
2.アイデンティティの確立
3.自己実現欲求

第9回
特別な支援が必要な子どもの学習と教育環境
1.いじめの構造と経過
2.インターネットの普及による人間関係の変容
3.ネットいじめ
4.子ども・若者の人間関係の実際

第10回
特別な支援が必要な子どもの学習と教育環境
1.LGBTQ+の理解と支援

 第11回
特別な支援が必要な子どもの学習と教育環境
1.発達障害の理解と支援:自閉症スペクトラム

第12回
特別な支援が必要な子どもの学習と教育環境
1.自殺予防教育
2.子ども・若者の「生きる」を応援する

 第13回
特別支援が必要な子どもの学習と教育環境
1.非行少年の処遇
2.非行少年の心理的支援

 第14回
記憶と忘却の教育心理学、家族の教育心理学
1.見て学ぶ
2.忘れるのになぜ学ぶのか?
3.記憶のメカニズム
4.家族とライフステージ
5.最終テスト(最終課題)とまとめ

*最終テスト(最終課題)を実施する。
*授業の進行によっては、変更する場合がある。
*虐待やいじめ等、授業内で心理的・身体的に残酷な描写(文字情報・映像情報)がある。その場面の前に注意事項を周知する。
事前学習・事後学習
授業以外に以下の事前・事後学習が必要である。

事前学習:教科書の代わりの授業資料を各自でCoLSから自分でダウンロードして印刷し、穴埋め部分を事前に調べて考察する等の予習をする。次回授業で扱う範囲について参考書等をあらかじめ読み、必要に応じて関連事項について調べておく。(2 時間)

事後学習:授業内容を振り返り、ノートにまとめる。レポート課題を課す場合はレポートを作成する。(2 時間 30 分)

その他、参考書等を読み込んでノートに要約する等の工夫をして整理をし、講義に臨むこと。講義で配布された資料を読み込み、要点やキーワードをまとめること。
アクティブラーニングの実施
・授業でグループワークを実施し、その成果をグループごとにプレゼンテーション等をする。
ICTの活用
・学習対象への思考や理解を深めるために、適宜 ICT を用いて授業を行う。
・コンピュータやプロジェクターなどを活用して、資料などの提示や共有を行う。
・授業では、学生がコンピュータやインターネットなどを活用して、情報を収集したり選択したりする。
・学生は自分の考えをワープロソフトで文章にまとめたり、調べた結果を表計算ソフトで表やグラフなどにまとめる。
実務経験を生かした授業の実施
実務経験:臨床心理学における下記の実務経験を授業に生かす。

警察本部での非行・犯罪少年に関する資質鑑別専門員、精神科クリニックでの心理士、高校での非常勤講師、地域保健所での不登校・ひきこもり相談員としての実務経験

これらから得られた知見を授業に生かして授業を実施する。全回において実務経験の知見を活用する。
SDGsに係る科目
目標4.すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する。

4.7 2030年までに、持続可能な開発のための教育及び持続可能なライフスタイル、人権、男女の平等、平和及び非暴力的文化の推進、グローバル・シチズンシップ、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする。
成績評価方法と基準
<評価基準>
S 到達目標を完全に達成している。
A 到達目標をほぼ完全に達成している。
B 到達目標を十分に達成している。
C 到達目標を達成している。
E 到達目標を達成していない。

<評価方法>
*全回出席・無遅刻・無欠席が原則である。
*20分以上の遅刻は欠席とする。
*20分未満の遅刻3回で欠席1回とする。
*居眠りや無断のスマートフォンの操作などは最終的な成績評価で減点する。
*最終テストを受験しない場合は単位を付与しない。
*下記の方法で成績を判断する。

(1)受講態度・授業への参加状況(CoLSの進捗状況などの予習復習、討議や質問、講義を聴く姿勢・マナー):30%
(2)小テスト(毎回のコメントの質と量等を含む):20%
(3)最終テスト:50%

*予習については、CoLSに提示した授業資料の事前のダウンロード状況などで判断し、点数化する。
*受講態度(マナー)を成績に反映する(加点や減点をする)。
試験・課題に対するフィードバック方法
レポートにおける全体の傾向について講評をする。
学生へのメッセージ
*CoLSのお知らせやフォルダを必ず確認してください。

*虐待やいじめ等、授業内で心理的・身体的に残酷な描写(文字情報・映像情報)があります。その場面の前に注意事項をお伝えします。

(1)受講態度(マナー)を成績に反映する(加点や減点をする)。
(2)教科書の代わりの授業資料を授業前に自分でダウンロードし、予習として事前に穴埋め部分をよく調べて考察をし、授業に持参すること。
(3)講義に関する質問や意見は積極的に発信すること。
(4)全回出席・無遅刻・無欠席が前提であるが、3回の遅刻で1回の欠席となる。
オフィスアワー
春学期:火曜日16:00~17:30
秋学期:金曜日11:00~12:30
教科書・参考書
教科書:教科書は特に指定しない。配布資料をファイリングするなど整理しておくこと。

 参考書:
1.市川伸一(2001):学ぶ意欲の心理学.PHP新書
2.藤田英典(1991):子ども・学校・社会.東京大学出版会
3.村上香奈・山崎浩一編(2021):子どもを支援する教育の心理学.ミネルヴァ書房
4.河合隼雄(1996):新版 子どもと教育 大人になることの難しさ.岩波書店