講義情報
講義名: 社会科教育法Ⅰ
教員: 中澤 純一
単位: 2
学部:
カテゴリ:
開講情報
キャンパス:
開講時期:春学期
開講学年:
昼夜区分:
曜日・時限:火曜 2時限
科目番号(科目ナンバリング)
XEQC201A
授業のテーマと目標
テーマ
中学校社会科教育の目標と内容、意義と特質についての基礎的知識を習得し、指導の内容や方法、評価のあり方や現代社会の諸課題について理解を深め、中等社会系教科の本質にそった授業づくりができる素地を身に付ける。
目標
1.中学校社会科教育の内容について総合的に理解し、中等社会系教科を担当する教員として必要な基礎的知識を身に付ける。
2.中学校社会科の特性に応じたICTの活用及び教材の効果的な方法を理解し、単元開発及び授業設計に活かすことができる。
3.中学校社会科における授業実践研究の動向を知り、学習指導案の作成や教材開発に生かせるようになる。
卒業・学位授与方針(ディプロマポリシー(DP))との関係
DP‐M1‐個人をみつめる力を身につけること。
DP‐M2‐他者と関わる力を身につけること。
身につけるべき学士力
C-5:問題を発見し、必要な情報を収集・分析・整理し、解決できる。
D-10:既存の知識を活用して、新しい価値(アイデア、生産物、方法等)を生みだせる。
L-46:客観的な視点で人間行動を理解し分析できる。
M-51:他者に情報を適切に伝達する素材をつくることができる。
N-53:国内外の社会情勢を理解する広い視野をもつことができる。
授業の内容と計画
第1回
中学校社会科教育の意義と課題
・中学校社会科教育の目的と機能 ・社会科が中等教育で必要とされる理由
第2回
中学校社会科と高等学校地理歴史科教育の全体構造
・中学校社会科のカリキュラム構造・高等学校地理歴史科のカリキュラム構造 ・中学校社会科教育のカリキュラム・マネジメント
第3回
中学校社会科の教師
・多様な生徒や社会に応える教師 ・教師の段階的成長と教師教育
第4回
中学校社会科教育の目標論及び学力論
・中学校社会科の目的・方法・性質 ・地理・歴史教育で達成すべきもの
第5回
中学校社会科の評価方法
・何のための評価か ・評価規準とは ・評価の方法
第6回
中学校社会科のカリキュラムデザイン
・中学校学習指導要領(社会科)における目標と内容 ・中学校社会科におけるカリキュラムデザインの方法
第7回
ICTを取入れた中学校社会科の授業-地理的分野を中心として-
・ICTを活用する学習方法 ・ICTを活用する表現活動 ・デジタル教科書の試行
第8回
主体的・対話的深い学びの実現をめざした中学校社会科の授業
・「主体的・対話的で深い学び」とは ・参加型学習とは
第9回
中学校社会科における多文化教育の授業実践の分析
・社会科(地理的分野)における多文化教育の理論と実践 ・授業分析の視点
第10回
中学校社会科における移民学習の授業実践の分析
・社会科(歴史的分野)における移民学習の理論と実践 ・授業分析の視点
第11回
中学校社会科の教材研究
・中学校社会科の授業をつくるために ・中学校社会科における教材開発のポイント
第12回
中学校社会科(地理的分野・歴史的分野)の教材開発-JICAのリソースを活用して-
・中学校社会科(地理的分野・歴史的分野)の教材づくり
*ゲストスピーカー:JICA職員による講話を含む
第13回
中学校社会科(地理的分野)の教材実践
・グループによる教材実践
第14回
中学校社会科(歴史的分野)の教材実践
・グループによる教材実践

定期試験:実施しない
期末課題:各自による教材開発

※授業の進行状況や社会情勢によって、変更する場合がある。
事前学習・事後学習
①事前学習として、教科書の指定箇所を熟読しワークシートの予習部分を解いたり、教材作成及び準備に熱心に取り組むこと。
②事後学習として、各回の課題に取り組み、次の授業までに課題レポートを提出したり、期末課題(各自による教材開発)を着実に提出すること。
③日頃から、地理や歴史、政治や経済に関係する時事的な報道等に関心をもって理解しておくこと。
④中学校社会科地理的分野及び歴史的分野の教科書を読んでおくこと。
アクティブラーニングの実施
各回の講義の特徴にあわせ、グループワーク、PBL(課題解決型学習)、対話・議論型授業、反転授業、参加型学習、プレゼンテーションを効果的に組み合わせて実施する。
ICTの活用
コンピュータやプロジェクターなどを活用して、資料などの提示や共有を行い、ICTを活用した授業を行う。また、受講生の発表においては、コンピュータやプレゼンテーション・ソフトなどを活用する。学生ディスカッション用にコルズ等を用いる。
実務経験を生かした授業の実施
【実務経験】
私立中学校・高等学校の社会科教員として17年間、生徒達と共に多くの授業実践を積み上げてきた。社会科における多文化教育及び国際理解教育を視野に入れた授業づくりをめざし、生徒達の社会認識や行動変容を如何に育てるかを研究のテーマとしてきた。また、社会教育施設における教員研修の外部講師やJICA中部・開発教育ナビゲーターとして、静岡県内の小中高校の教員からの開発教育及び国際理解教育を用いた授業実践に関する相談に応じ助言を行い、実際に県内の学校に出向き出前授業を行ってきた。これらの実務経験を生かした授業を展開する。
【実務経験を生かした授業】
講義全般において、これまでの教職経験を生かした授業展開を行う。特に、第6回の授業において、中学校社会科のカリキュラムデザインについて中学校の教育実践で行った事例を紹介する。さらに、第9・10回においては、これまで教育現場で培ったスキルや経験をもとに、授業実践事例と授業分析、第11回から第14回においては、中学校社会科における教材研究・開発・実践について教職経験の視点から具体的に提示する。
成績評価方法と基準
【評価方法】
授業への参加及び貢献(20%)第1回~第14回における事後学習課題(40%)パフォーマンス課題(教材開発)(40%)に基づいて総合的に評価を行う。
【評価基準】
S:中学校社会科教育の理論と実践について、授業で取り上げた知識と考え方を十分に修得し、きわめて優れた学修成果を上げている。
A:中学校社会科教育の理論と実践について、授業で取り上げた知識と考え方を十分に修得し、優れた学修成果を上げている。
B:中学校社会科教育の理論と実践について、授業で取り上げた知識と考え方を概ね修得している。
C:中学校社会科教育の理論と実践について、授業で取り上げた知識と考え方について合格と認められる最低限の習得をしている。
D・E:中学校社会科教育の理論と実践について、授業で取り上げた知識と考え方が修得できておらず、再履修が必要である。
試験・課題に対するフィードバック方法
・提出されたリフレクションシートやレポートにコメントをつけて返却する。
・事前課題の内容について、授業内に解説を行う。
学生へのメッセージ
担当教員がこれまで私立中学校・高等学校の社会科教員として生徒と共に積み重ねてきた教育実践とその授業づくりの経験を講義で伝えていきます。社会科及び公民科教育では、「チョーク&トーク」に代表されるように教師主導の知識注入型の授業が多々見られます。しかし、これからの教育には、生徒自身が学びの中でもつ「なぜ」という疑問や課題に対して、自ら考え自分の言葉で表現・発表することができる思考力と発信力が求められます。社会科の全体像を視野に入れた目標論、学力論、教材論、教育方法論の学修を行うので、受講生は理論と実践力を共に身につけて頂けることを望みます。その上で、中学校社会科教育の実践力のある教員の育成をめざします。
各回、中学校社会科教育の理論と実践について重要な内容となり、各回の内容がつながっていますので、遅刻や欠席をすることで学習内容の修得に影響します。一回一回の授業を大切にしてください。なお、遅刻については、チャイムが鳴ってから 20 分以上の遅刻は原則として欠席扱いとなります。また、20 分以内の遅刻 3 回で欠席 1 回となります。
オフィスアワー
初回授業で説明後、別途コルズでお知らせします。
教科書・参考書
【教科書】
・社会認識教育学会編(2020)『中学校社会科教育・高等学校地理歴史科教育』学術図書出版
・加賀美雅弘、米田豊、志村喬、吉田剛監修(2020)『社会科中学生の地理-世界の姿と日本の国土-』帝国書院
・黒田日出男、小和田哲男、成田龍一監修(2020)『社会科中学生の歴史-日本の歩みと世界の動き-』帝国書院
【参考書】
・文部科学省(2018)『中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 社会編』東洋館出版社
その他
本授業は、後期に開講される「社会科教育法Ⅱ」と連続性のある内容となっています。「社会科教育法Ⅱ」の履修を予定している方は、本授業を履修してください。